英国王室ゆかりの王立公園 ハイド・パーク

人口が急増し1000万都市に達する勢いを見せている,英国の首都、ロンドン。このため、サステナブルな環境とSDGs目標を掲げた社会への多様な取り組みが進む。廃棄物とCO2の削減を推進、2030年には温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す。このため、公共交通機関の拡充と電動化を図り、市内には「超低排出ゾーン」を設置。排出ガス基準を満たさない車両はこのゾーンを走行する際に1日12.5£が課金される。

昔と比べ、霧も減り、幾分ロンドンの空気がよくなったように感じるのは、緑が増えたせいもあるだろう。ロンドンには現在3000以上の公園があり、他の緑地を合わせると市の面積の2割以上が緑で占められている。2019年には世界初のNational Park Cityに認定された。これは都市そのものを国立公園のようにとらえ、サステナブルな自然・生活環境を認めたもの。
ロンドンでは、3000万£のGROW BACK GREEN FUNDを設け、2050年までにその半分近くを公園にし、住民や旅行者がスポーツを楽しみ、憩える場を築く計画だ。現在、ロンドンで「緑の肺」とも称されるハイド・パークは、市内中心部に位置し、320エーカーという広大さ。西に皇太子夫妻の住むケンジントン・パレスがあるケンジントン・ガーデンズと隣接している。もともとイギリス王室が狩猟場として所有、今でもRoyal Parks(王立公園)と称され、公立公園として慈善団体が運営している。

広大な公園の四季折々の花々、ミツバチの天国
公園内には乗馬専用道路、池、花壇、卓球場などがあり、ロンドン万博(1851年)、オリンピック(2012年)のトライアスロン、ロックコンサートなどイベント会場にも。5~9月は池に水質管理された有料の水泳場が設けられ、地下の水路でテムズ川に排出される。雨が多いため年間を通して芝は青々とし、四季折々の花が随所に咲く。野生の植栽も多くミツバチの生育にも力を入れている。
ミツバチによる受粉活動は果物や野菜はもちろん、食料供給における重要な役割を果たす。気候変動や農薬、生息地の減少などで1990年以降、世界的にミツバチが激減したが、保護活動で2017年以降、少しづつその数は増加傾向にある。
ハイド・パークに面したロイヤル・ランカスター・ロンドンは、2009年に養蜂箱を始めて設置したロンドン中心部のホテルだ。朝食に出されるハニカムから滴る濃厚な蜂蜜が人気だ。1976年に開業したホテルだが、大改装を経てモダン・クラシックな優雅な雰囲気に。館内では随所にハニカムのモチーフが自然光にきらめく。


ホテルと博物館のコラボ、アフタヌーン・ティ
同ホテルではこの春からハイド・パークの対面にある自然歴史博物館とのコラボレーションで、BLOOMING BRITISH(花盛りの英国)というアフタヌーン・ティーを企画。ミツバチが成した英国の美しい草花をテーマにしたもので、地産の食材を使ったスィーツとサンドイッチが好評だ。自然歴史博物館がミツバチの好むワイルド・ガーデンを設けたことがきっかけとか。

1881年に設立された自然科学博物館は、世界でも有数の自然科学研究機関でもある。2033年までに厳格なネット・ゼロを目標にしたサステナブル運営を行うと共に、生物多様性保全指標の運営、金融市場で活用する生物多様性データの構築などの調査や研究をしている。科学者らによる教育や保護活動などのプログラムも提供している。
アフタヌーン・ティーのお洒落なメニューには、ハイド・パークの可愛いマップがついてきて、ホテルからハイド・パークを抜けて自然歴史博物館に至る楽しい散歩道が紹介されていた。シャンペン付きのアフタヌーン・ティの後、博物館を目指しベンチで休み休み公園を歩く。

様々なベンチがあり名前の刻まれたものが多いのは、故人の寄付によるメモリアル・ベンチだからだ。(寄付額は数百£から数千£)美しい公園に自分のベンチが残され、色々な人が自由に寛いでくれるのだ。肘掛けを設け背筋を正して座ることを強要する日本のベンチと違い、寛げる優しいベンチ。その心地余良さに目を閉じると、濃密な春の花の香りと飛び交う働き蜂の羽音に心身が包まれた。

>シリーズ企画:「サステイナブルライフを求めて」
<著者プロフィール>
篠田香子 しのだこうこ
フリーランス・ジャーナリスト、東京とミラノを2拠点に、都市・不動産開発、ツーリズム、サステナブルライフ関連をレポート。

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