こんにちは。伴道イルカです。
もちろん、ニックネームです。イルカの調教師をしていたことが由来です。
バヌアツ共和国で大好きな海と海の生き物を入り口に、子供たちに環境3Rを伝える活動をしています。
ジュゴンに会いにマスケリン島へ
バヌアツには、絶滅危惧種に指定されている海の生き物がいくつかいます。
その中でも、私の心を惹きつけたのは、生息地が限られているジュゴンです。
調教師としてイルカとアシカに長く携わってきたので、同じ海洋哺乳類であるジュゴンには、どうしても親近感がわいてしまうんです。
そんな私のテーマの1つである、ジュゴンに会うことが出来ました。
83の島々からなるバヌアツには、ジュゴンに逢える場所がいくつかあります。
今回、私が訪れたのは、「地球最後の秘境」と呼ばれるマスケリン島です。

島の周囲は約15km、マングローブが生い茂っていて稚魚たちの隠れ家になっています。
ジュゴンの大好物であるシーグラスも豊富に茂っていて、ジュゴンがここに住み着いているのも納得できます。

シーグラスは海岸近くに生えているので、ジュゴンの行動は潮の満ち引きに大きく影響を受けます。私が出会えたのは浅瀬の餌場ではなく、水深15mほどのサンゴ礁エリアでした。
ジュゴンに会えた!
ガイドさんに導かれて指さす方へ泳いでいくと、1頭のジュゴンが水面近くを泳いでいます。ガイドさんが、“戻ってくるよ!”と合図をしたので、静かに待っていると、回遊して戻ってきてくれました。
そして、なんと!“アイコンタクト”を取りながら、私の目の前を通りすぎてくれました!
“わ~っ♡♡♡”

長年、動物に関わってきたので、わかります!
野生動物とのinteractionは、これがほぼMAXだと。
嬉しさと感動で、真珠の涙がこぼれそうになりますが、そこはぐっとこらえて、2度とないかもしれないジュゴンの生態を観察しました。
自然と一体化しているマスケリン島の生活
島の暮らしも、とても印象的でした。
家の屋根はヤシの葉を編んで作られ、暮らしに必要な道具の多くは自然素材でできています。
広い敷地に何世代かの家族や親せきが集まって暮らしていて、台所の建物、洗濯場、干す場所を共有して生活しています。


水は雨水を利用し、時折小さなソーラーパネルを備えた家がありましたが、島に電気は通っていません。
朝になると子供たちが海で貝を拾い、カヌーに乗って魚を釣っています。
バナナやパパイヤもたくさん生っています。
自給自足に近い暮らしで、プラスチックごみがほとんどなかった理由も、村の中を歩いて納得できました。

みんなの海を守れるように
旅の最後の日、子供たちが寄ってきて、私の髪を結ってくれました。
その無邪気で澄んだ瞳に心がぎゅっとなって、別れ際にはたくさん手を振りながら、「みんなの海を守れるように、私、がんばるね」と心の中で約束しました。

私が住む首都ポートビラの海岸でも、昔はジュゴンが見れたそうです。
ポートビラとマスケリン島の海岸を比べると、餌場、海の交通量、ゴミの量に大きな違いがありました。
国の経済発展などを考えると、自然とともにある暮らしだけでは成り立たないことは分かります。
しかし、目の前に落ちている街のゴミは街の問題だけでなく、自然と共に暮らしている島へも影響を及ぼします。
海の生き物だけでなく、マスケリン島の子供たち、みんなの海を守れるように環境3R活動を進めていきたいと思います。
Yumi Wan Solwota(海はひとつ)
>シリーズ企画:「サステイナブルライフを求めて」
<著者プロフィール>
伴道イルカ(おざわ ゆきこ)
カリブ海でイルカ・アシカの調教師として活動したのち、野生動物の保全(ワイルドライフ・コンサベーション)へと活動の幅を広げる。
現在は南太平洋のバヌアツ共和国で、大好きな海と海の生き物を入り口に、子供たちに環境3Rを伝える活動に取り組んでいる。体験と知識を生かし、持続可能な暮らしの在り方を楽しく発信中。

eepfではセミナーやワークショップなどのコンテンツを通してサステイナブルコミュニティづくりのお手伝いをしています。
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